公開質問状に対する長崎県から回答

全国再エネ問題連絡会では、長崎県佐世保市宇久島での日本最大級のメガソーラー計画に問題がないのか、林地開発許可の資料を中心に精査した上2月25日に現地調査を実施した結果、河川の氾濫と水害を発生させてしまう計画となっていることがわかりました。
 そのため、長崎県と佐世保市に公開質問状を送付し、2月26日に佐世保市役所、27日には長崎県庁を訪れ聞き取りを行った後、長崎県庁記者クラブで記者会見をしました。

 連絡会の、宇久島メガソーラーに対する指摘は以下のとおりです。
 
 
【宇久島メガソーラー開発の主な問題点】

1 下流河川に水害を発生させる過剰な排水を計画
  宇久島の河川はどれも小さく、水路のようなものが多く、現状で、3年確率降雨(3年に1度程度降る大雨)の流量を流せずに氾濫している河川が多くある。しかし、事業者と佐世保市の河川協議では、メガソーラーの調整池から、下流河川に10年確率の降雨による流量を流すことを許容している。10年確率降雨の流量を、3年確率降雨を流せない河川に流すと水害が起こることは明らかであるのに、長崎県はそのまま林地開発許可を出している。

2 調整池の圧倒的不足と調整池崩壊の懸念
  通常森林を大規模に伐採し、開発すれば流出係数(雨が降った際に地下に浸透や蒸発せずに排水される雨水の比率)は高くなる。しかし、宇久島のメガソーラー計画では、開発地の流域の流出係数を誤って一律0.7とし、さらに開発により流出係数が低くなると評価されている流域が多数ある。これは、ありえないことであり、実際に発生する流量を30%程度減らしていることになる。
その結果、30年確率降雨に対して建設する調整池の容量が30%程度不足している。調整池は容量を超えた水を貯めておくと崩壊する。崩壊を防ぐため放水すれば、下流で水害が発生する。
調整池の設置を計画しているのは3河川(マグラ川、三浦川、福浦川)に留まっているが、それは、上記の通り実際の流出係数0.9を0.7とすることによって、開発によって流出が減少するという誤った判断に基づいている。したがって、調整池を計画していない下山川等の他の河川では、30年確率降雨では、下流の大規模な水害の発生を見逃されている。

 3 200haを超えるパネルを敷くのに環境アセスにかからない
   林地開発許可の面積で約68ha、その他、林地開発にかからない山林もかなりの面積に上り、パネルの面積は200haを優に超えるにもかかわらず、「30haの土地改変がない」という理由で、長崎県環境影響評価条例に基づく、環境アセスが行われていない。事業者は、森林伐採をしても、伐根も整地もしないと主張しているようであるが、そのようなことは不可能であるし、防災面から危険極まりない開発となる。

 

 連絡会の公開質問状に対し、2月27日付で長崎県庁から回答がありましたが、いずれも現状の問題を解決するものではありませんでした。
 
 宇久島のメガソーラー計画地は、島のほとんどの地域に広がり、島は水系が細かく分かれており、下流には集落があります。このままでは、島の各所で住民の生命を脅かす水害が発生する危険があり、計画の抜本的な見直しが必要不可欠です。
 このまま工事を行うのはあまりにも危険です。
 連絡会は、メガソーラーによる地域の環境、生活破壊を止めようと活動をしているNPO法人宇久島の生活を守る会とともに、引き続き撤退も含めた事業の抜本的見直しを求めていきます。
 長崎県庁の回答に対する連絡会の見解は別紙のとおりです。
                                                                                                         
*人口約1700人の島に、480メガワット、計画地面積720ha、島の10分の1にパネルを敷つめるという宇久島のメガソーラー計画が、4月以降、本格的に着工すると言われています。
この計画は、京セラ(株)、東京センチュリー(株)、(株)九電工、古河電気工業(株)という日本を代表する大企業が出資し、出資者の中にはSPCG Public Company Limitedというタイにある会社も入っています。



令和6 年2 月19 日付の当会の公開質問状に対し、同27 日付で長崎県地域環境課及び林務課より届いた回答に対する、当会の見解は以下のとおりです。

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